好きな作家、服部真澄さんの文庫新作『クラウド・ナイン』が発売されていたので購入。
いやー、読み応えがありました。
もともとは、2015年9月に発売された単行本です。
内容としては、人工血液を軸とした『ブラッドゼロ』と最先端技術を詰めた人工衛星を軸とした『クラウド・ナイン』の2本の話を、検索エンジン・サービスを軸に巨大企業となった『オッド・アイ』に務める主人公が、それぞれの事件の謎を解き明かすミステリー仕立てになっています。
ストーリーにミステリー要素はありますが、本格ミステリーではないので、ある程度読み進めると謎について、だいたい想像できる点も面白さを膨らませている要因ではないかと思います。
また小説中に出てくる巨大企業『オッド・アイ』は、現実社会でいえば『Google(アルファベット)』を想像して読むとリアルさが増します。
そうする事で小説の世界が、現実の世界に投影して読むこともできるので、本当に起きえる話と思い、ワクワクして読むことが出来ます。
医学的な話や、ITの専門的な話ではありますが、非常にわかりやすく読みやすい点も著者の特徴ではないでしょうか。普段テレビでニュースを見る感覚で理解できる内容となっています。
本文中には、インターネットのメールや検索などの無料サービスを使う便利さの影には、実は考えさせられる個人情報の問題がある点を改めて認識させられる点もあります。
そして、その便利なサービスが膨張する上で抱える問題点も指摘されており、果たして現実世界では、どのようにその問題を解決するのだろうと興味もわきました。
また、クラウド・ナインは少しネタバレとなりますが、人工衛星による気象兵器の話でもあります。
まさに今、映画でやっている『ジオストーム』のような点もあり、ちょっと映画が観たくなりました。
クラウド・ナイン アマゾン説明より
全データ消失。その“事故”に、世界は耐えられるのか。
現代の戦慄を照射する傑作インテリジェンス小説!検索エンジン・サービスを軸に世界有数の巨大企業となった『オッド・アイ』。
猛スピードで生成される莫大なデータ量に、ついにデータセンターに限界が迫る。
社内で閑職に追いやられていた木挽橋隆一(通称リック)は、
打開策を見出すべく特命を受けるが、事態は思いもよらない方向へ。二転三転するストーリー。
興奮のインテリジェンス小説。
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