秋も深まり、読書の秋ということで、本屋による機会も増えました。
伊坂幸太郎さんの文庫『砂漠』が山積みされており、まだ読んでいない作品だったので早速購入。
ちなみに、『砂漠』は、2005年に実業之日本社からハードカバーが出版され、2010年に新潮文庫から文庫でも出版されています。
今回、実業之日本社文庫から新たに文庫化されたようです。
2005年の作品ですので、初期の伊坂さん作品らしい文体な気がします。
心地よく、淡々と読み進められますね。
で、読みながら改めて思うのが、やっぱり伊坂作品には、斉藤和義の音楽がとても合う。と。
伊坂幸太郎さんと斉藤和義さんの親交が深いのはファンの間では有名だと思うので、釈迦に説法な人もおられると思いますが、
個人的には、『アイネクライネナハトムジーク』に収められている『アイネクライネ』が大好きです。
斉藤和義ファンの伊坂さんが、作詞を頼まれたのですが、「詞は書けないけど、小説なら」と短編を書かれました。それが、『アイネクライネ』です。
斉藤さんは、その短編を原案に楽曲『ベリーベリーストロング~アイネクライネ~』を作られました。
この時発売されたシングル『ベリーベリーストロング~アイネクライネ~』には、伊坂さんの小説がついてくるという仕様でした。
その作品が斉藤さんの音楽と素晴らしく合うのは当然なのですが、他の作品でも、作者が斉藤さんのファンだけあって、小説と斉藤さんの音楽が非常に合うと思うんですね。
今回の作品『砂漠』でもジャズやパンクロックと音楽の話が出てきます。
思わず、小説中に出てくるバンドを調べたくなり、実際調べてなるほど、こんな音楽なんだ。
と納得したりするのも楽しいです。
今回の『砂漠』が青春小説ということもあり、すこし若い気持ちになると同時に、オヤジになった自分が俯瞰で作品を見る点があったりします。
少しボリュームを下げて、斉藤和義さんのアルバムをかけながら、珈琲片手に『砂漠』を読むのは至福の時間でした。
小説に集中していたら、音楽なんて聞こえないよ!って方もおられると思いますが、バックミュージックとして音楽をかけながら、小説を楽しむのも、小説の世界観が広がって楽しいですよ。
そんな音楽と珈琲と小説が組み合わさった一人の時間も大切だと思えたある日の夜でした。
『砂漠』
仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。
少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。
麻雀に勤(いそ)しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。
一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡で出来ていた――。
明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。
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