服部真澄さんの『深海のアトム』の上下巻が平積みされており、気になったので読んでみました。
3.11の東日本大震災をモチーフにしたこの作品。
序盤から中盤にあたる上巻は、怒涛の展開で、ハラハラしながら読むので一気に読んでしまいました。
この作品。登場人物が多く、場面展開も多いです。
とはいえ、誰が誰かわからなくなることもなく、それぞれのパートで重要な人物が誰なのかはすぐに理解できますし、これが今後物語としてどう繋がっていくのだろう?というのが、読者は気になる展開となっています。
少しネタバレ的になりますが、読み始め一体どこの世界を描かれているのだろう?という展開があります。
日本のようで、日本でない?感じを受けたのですが、これは最後まで読んでも解決しませんでした。
ただ、そこについては、あまり深い意味はなかったのかなーとも思っています。物語を読み進めるうちに、受け入れて読めた点もあるかもしれません。
現実のリアルとフィクションがまざりながら、ドキドキと読める点は、さすが服部さんの作品と思いました。
東日本大震災がモチーフになっているので、あまり読みたくない方もおられるかもしれません。
しかし、私がこの物語を読んだ感想としては、未来には希望がある。という作者のメッセージを感じました。
序盤のピンチに続く、ピンチの部分が後半は、わりとアッサリ解決したり、展開したりする部分もあり、ちょっと残念かなと思える箇所もあります。
ただ、作中の謀略や駆け引き、そしてキャラクター達の繋がりの面白さは素晴らしいです。
個人的に、すごく印象に残っているのが、作中にでてくるサクラマスの話です。
川魚であるヤマメとサクラマスが同一の個体ということが説明されており、知らなかった私は、思わずネットで調べてました。
同じヤマメでも九州地方では海に出てサクラマスになるヤマメがいないこと、北にいけば行くほど、海にでるヤマメが多いこと。
強いヤマメが海に向かうのではなく、弱いヤマメが餌をもとめて海へ向かっていき、傷つき成長し、やがてサクラマスとなり故郷の川にもどってくる。
知らない情報に興味をもち調べることのキッカケにもなった本作には感謝です。
海沿いの国、陸滸国に生きる少年カイは、船上から海に突き落とされ行方不明になってしまう。村の人々が捜索するなか、カイは思いも寄らない光景に遭遇していた。同じ頃、遠く離れた米国では、生物資源研究の権威・キタヒロ名誉教授が、故郷の陸滸国へ数十年ぶりに帰る準備を進めていた…。やがて陸滸国で渦巻く巨大な陰謀と企みが次々と明らかになっていく。豊富な海の資源を狙う者、放置された鉱山の秘密を探る者、原発誘致を巡る賛否両論…。そんななか、陸滸国をかつてない大激震が襲いかかる。果たして、カイは奈落の底から抜け出せるか。キタヒロは長年追い求めてきた真相に近づけるか。そして、国の未来を担う新たな“宝”とは。いま壮大な物語が幕を開ける―。震災後の日本に希望をもたらす、圧倒的スケールのスペクタクルエンタメ巨編!
「BOOK」データベースより
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